東京都世田谷区に建っていた洋館が平成12年(2000)に解体され、建主にゆかりのある岡崎市に寄贈されて、文化施設として復元された。解体時には照明器具や家具などを含め、ほぼすべてが建設当初の姿を保っていた。建設時の図面や設計の経過、施工者の選定などに関する資料も残されており、住宅建築史上きわめて貴重な建物である。
外観はスパニッシュを基調とし、車寄にはチューダーアーチを用いるなど、多彩な意匠要素を備える。とりわけ2階の「お茶室」は、建具の額縁や家具から照明器具に至るまでアールデコ調で統一されており、特筆に値する。
復元工事では、モルタルで囲われた柱型や押入の内部に鉄骨柱を設置して構造補強を行った。また、タイルや瓦、セメントタイル、壁紙などを可能な限り当初材に合わせて復元製作した。内外装の左官工事では、現在ではほとんど用いられない仕上げを、当時の左官技法を駆使して再現した。
平成24年から一般公開され、各種イベントや市民活動の場として活用されている。